基礎知識

【競馬基礎】鼻出血とは?原因と競争馬を引退に追い込む理由も解説!

この記事でわかること
  • 鼻出血とは
  • 鼻出血の原因とレースへの影響
  • 鼻出血による出走制限
  • 鼻出血の予防と治療

「競馬で鼻出血が起きると何が良くないの?」「競走馬が鼻出血になって出走停止になることがあるのはなぜ?」と気になっていませんか?

競馬において鼻出血は、レースへの影響だけでなく、症状によっては競走馬の命にも関わってくる問題なのです。

そこで、今回は競馬の鼻出血について詳しく解説します。

この記事を読めば競馬中の鼻出血がレースのパフォーマンスに与える影響や、鼻出血の原因や鼻出血対策について理解することができます。

ぜひ最後まで読んで学んでください。

 

【競馬用語】鼻出血とは?

鼻出血とは、競走馬が鼻から血液を流す状態を指します。

この出血には外傷性と内因性の2つのタイプがあります。

外傷性の鼻出血は、通常は短期間で治癒しますが、内因性の場合は再発しやすくなる傾向があります。

そのため、鼻出血が初めて発生した馬は1カ月間、2回目の場合は2カ月間、3回目以上の場合は3カ月間、競走に出走することができません。

馬は口呼吸ができないため、レース中に鼻出血を発症した場合、競走能力が十分に発揮されないことがあります。

 

競走馬の鼻出血の原因とレースへの影響

馬の鼻出血には大きく分けて以下の3つの原因があります。

鼻出血の原因
  • 外傷性の鼻出血
  • 運動誘発性の肺(鼻)出血
  • 真菌性の鼻出血

それぞれの原因について解説します。

外傷性の鼻出血

外傷性の鼻出血は、レース中に芝のかけらが飛んできて鼻に当たったり、馬房内で鼻をぶつけたりすることで、鼻腔内の血管が切れて血が出ている状態です。

我々がよく経験する鼻血と同様、一時的な出血であり、大きなリスクはありません。

外傷性の鼻出血の場合、レース中に発生したとしても、出走制限は課されません。

運動誘発性の肺(鼻)出血

運動誘発性の肺(鼻)出血とは、競走中などに大きな負荷がかかり、肺胞などの呼吸器官の毛細血管が破れ、鼻から血液が噴出している状態を指します。

この出血によって肺組織が損傷されることも問題ですが、一番の問題は馬は鼻呼吸しかできないため、競走中に呼吸がうまくいかず、競走能力に大きな影響を及ぼすことです。

再発のリスクが高いため、適切な療養が必要であり、動物愛護の観点からも、発症後は治療のため一定期間レースに復帰できなくなる種類の鼻出血です。

真菌性の鼻出血

真菌性の鼻出血は稀な症例ですが、症状が表面化している時点で進行していることが多く、先述の鼻出血とは異なり、命に関わる深刻な状態です。

病巣が動脈に影響を及ぼすと、突然の大出血が起こり、命を落としてしまうことがあります。

内視鏡で病巣を洗浄し、抗真菌薬を投与することで改善するケースもありますが、治療には早期発見が不可欠です。

普段から馬房や牧草などの環境に注意し、真菌感染を予防することが重要です。

 

鼻出血を伴わない肺出血

運動誘発性肺出血は、身体内の呼吸器での出血のため、表面化しないまま進行する場合もあります。

実際、競走馬の8割が表面化していない肺出血を患っていると言われています。

海外では、競走後に内視鏡検査により肺出血の有無を確認することが義務付けられている場合もあり、これにより表面化していない肺出血も見つけることができます。

しかし、日本では「鼻出血」として明確に現れない限り、出走制限は課されないので発見されいない場合もあります。

肺出血が慢性化した場合、止血作用のあるサプリメントが効果的であることが知られていますが、日本では競馬法により止血剤の使用が禁止されています。

アルゼンチン共和国杯や京都記念を制した『トレイルブレイザー』は、アメリカでのレースで成功を収めるため、止血剤を使用することができる環境に遠征しました。

競走馬に対する過度な薬物投与の規制は必要ですが、引退後のケアや転身の支援が不十分な中、競走馬としての生活を維持するための医薬品の使用については、緩和を検討しても良いのかもしれません。

 

鼻出血による出走制限

鼻出血の原因やレースへの影響はご理解いただけたと思うので、競馬の鼻出血による出走制限のルールについて簡単にまとめました。

鼻出血による出走制限について、JRAの公式ホームページでは下記のように解説されています。

JRAの競走馬登録を受けている期間の競走中において、装鞍所ひき付け時から競走終了後馬場を出るまでの間に、鼻出血(外傷性のものを除く)を発症したと認められる馬は、競走の実施日の翌日から起算して発症1回目は1ヵ月間、2回目は2ヵ月間、3回目以上は3ヵ月間それぞれ出走できません。

JRA|よくあるお問い合わせ > 痼疾馬(こしつば)の出走制限とは。

つまり、JRAに所属している競走馬が、装鞍所からレース終了後にコースを出るまでの間に、外傷性を除く鼻出血を発症した場合、以下のような出走制限が適用されます。

◆鼻出血による出走制限

・発症1回目 → 1か月間の出走制限

・発症2回目 → 2か月間の出走制限

・3回目以降 → 3か月間の出走制限

トレーニングセンター内での鼻出血には、競走への出走制限はありませんが、肺出血の場合は再発のリスクが非常に高く、競走成績に大きな影響を与えるため、通常は休養が必要となります。

鼻出血を経験した競走馬の多くは、1度発症すると、療養を経ても再発の可能性が高いです。

トレーニングセンターでのレースへの準備段階で再発するケースも少なくありません。

鼻出血は競走馬の生命に直結する疾病として、骨折や屈腱炎・繋靱帯炎と同様に休養が必要ということです。

 

競走馬の鼻出血の予防対策

競走馬の鼻出血の予防対策は、さまざまな要因によって異なります。

外傷性の鼻出血に関しては、どれだけ注意しても馬がぶつけたり、鼻を傷つけたりすることがあります。

そのため、予防対策の一環として、ぶつけにくい環境を整えることが重要です。

一方、カビによる真菌性の鼻出血に関しては、馬自身が気を付けても防ぐことは難しいです。カビの発生を防ぐためには、衛生的な環境を整えることが最も重要です。

また、餌の品質や保管方法の見直しも必要です。

肺出血の予防は最も難しい部分です。肺出血を防ぐためには、負荷のかかる激しい運動を控えることが重要です。

しかし、競走馬が本来の仕事である全力疾走を行わないわけにはいきません。

鼻出血を発症した馬に対しては、一定期間のレース出場停止命令を出すことができます。

また、鼻出血の回数に応じて停止期間が延長されることもあります。

一部の国では、2回目の鼻出血発生時に永久的な出場停止処分が科される場合もあります。

 

競走馬の鼻出血の治療方法

競走馬の鼻出血の治療方法は、確立された方法が存在しません。

鼻出血が一度発生すると完治させるのは難しいという意見や、漢方薬を用いて治療したという報告など、さまざまな意見が調教師から出されています。

また、餌やサプリメントを利用して血圧の上昇を抑える取り組みも行われているようです。

止血剤を含む治療薬も一部存在しますが、最も効果的なのはレースでの過度な負荷を避け、リラックスした状態で走れるようにすることだという声もあります。

このように、競走馬にとって鼻出血は、治療が難しい三大疾患の1つとされています。

 

まとめ

今回の記事では、競馬中の鼻出血がレースのパフォーマンスに与える影響や、鼻出血の原因や鼻出血対策について解説しました。

鼻出血には外傷性と内因性の2つのタイプがありました。

外傷性の鼻出血は、通常は短期間で治癒しますが、内因性の場合は再発しやすくなる傾向があります。

鼻出血は競走馬の生命に直結する疾病として、骨折や屈腱炎・繋靱帯炎と同様に休養が必要であり、予想の際には原因まで調べておくことが重要なのです。

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