基礎知識

競馬の距離別の呼び方って何?距離適性の重要性やレースの距離一覧も紹介!

この記事でわかること
  • 距離適性の重要性
  • 競馬の距離別の呼び方
  • レーティングによるSMILE区分
  • 芝とダートのレース距離一覧

競馬にはいくつものレースの距離がありますが、短距離が何メートルからで長距離が何メートルからか知っている人は少ないのではないでしょうか?

そこで、今回は競馬の距離について解説します。

この記事を読めば、競馬の距離ごとの呼び方や競走馬の距離適性の重要性がわかるので、ぜひ最後まで読んで学んでください。

 

競走馬の距離適性の重要性

競走馬も同様に、得意な距離が存在します。

これは、馬の適性や体力によるもので、人間のアスリートと同様に、競走馬も得意な距離を持っています。

例えば、オリンピックの100m競走で金メダルを獲得した選手は、短距離走者としてその得意分野で圧倒的な力を発揮します。

そもそもの能力が高いので、同じ選手が小学生のマラソン大会に出場しても、1500m走でも余裕で勝利できるでしょう。

しかし、距離や競技内容によって、アスリートや競走馬の適性が大きく異なるので、この選手が大学の長距離ランナーと競走すれば、実際に優勝するのは難しいかもしれません。

競馬においても同様の原則が言えます。

たとえば、もともと短距離が得意な馬が、競馬の下位クラスである3勝クラスなどで2000mの距離を力強く駆け抜けて勝利することがあるでしょう。

しかし、競走のクラスが上がるにつれて、その距離に特化したスペシャリストたちが参戦し、競り合う相手も実力派ばかりとなります。

そのため、競走馬は通常、自身の適性距離に合わせてレースが選ばれ、クラス分けが行われます。

競馬において、馬がベストパフォーマンスを発揮するのは、通常、その馬の適性距離から前後200m程度の範囲内です。

大多数の競走馬は、自身の適性距離から離れると競走での勝利確率が低下する傾向にあります。

 

競馬の距離別の呼び方と分類

競馬のレースは、大きく分けると距離によって以下の5つカテゴリに分かれます。

競馬の距離の分類
  • 短距離
  • マイル
  • 中距離
  • 中長距離
  • 長距離

それぞれの距離カテゴリについて解説します。

短距離(1000~1400m未満)

1400m(7ハロン)までの競走を「短距離戦」と呼び、これは一般的に「スプリント」とも呼ばれています。

この距離帯が得意な競走馬を「スプリンター」と言います。

スプリンターの特徴と距離適正の見方

スプリンターは、基本的には卓越したダッシュ力とスピードを持ち、その特長は馬体にも表れます。

一般的に、スプリンターの馬体は四肢が短く、胴が引き締まり、筋肉が発達していることが多いです。

彼らは出走時に非常に気性が勝気で、これが勝負根性として発揮されることもあります。

ただし、気性が荒い場合、競走前に興奮し過ぎて体力を使い果たしたり、レース中にコントロールを難しくし、ゴール前で力尽きることがある点には留意が必要です。

ある馬は、血統や体格的には中長距離向きであっても、気性の問題から短距離を走ることがあります。

短距離戦の魅力は、他の距離適性の馬と比べ、馬が走る距離が短いため、体力的な消耗が少ないことです。

したがって、スプリンターは多くのレースで活躍することができます。

条件戦でも8位までに入れば賞金を獲得でき、これは競走の充実度を高めます。

また、中央競馬での成績が頭打ちになった場合、多くの地方競馬競走が短距離戦であるため、競走場を移籍することも可能です。

そのため、生産牧場ではスプリンターが比較的多く生産されます。

マイル

競馬の競走距離において、一般的には1400m(7ハロン)から1800m(9ハロン)までの競走を「マイル戦」と呼びます。

ただし、国や競馬団体によって距離の定義が微妙に異なり、中には1600m(約1マイル=1609mに近い距離)だけを純粋な「マイル戦」として定義する場合もあります。

マイルが得意な競走馬は一般的に「マイラー」と呼ばれ、この距離でのパフォーマンスに秀でています。

マイラーの特徴と距離適正の見方

マイルの競走は、瞬発力やスピードだけでなく、持久力やスタミナも問われる距離として知られています。

したがって、競走馬はスプリントと持久力のバランスを保つ必要があります。

血統的に、クロフネ(Kurofune)産駒はマイル競走に向いているとされており、これらの馬はマイルで活躍することが多いです。

また、母父にサクラバクシンオー(Sakura Bakushin O)が登場する馬にも注目が集まります。

サクラバクシンオーは日本の競走馬として非常に成功した馬で、その遺伝子がマイル競走に適していると考えられています。

中距離(1800~2200m未満)

1800mから2200mまでのレースを中距離戦と呼びます。

中距離は世界中の競馬のレースで最もスタンダードな距離です。

中距離馬の特徴と距離適正の見方

中長距離競走は、2100mから2700mの距離を指し、競馬の難易度が高い距離の一つです。

このような距離帯では、競走馬のスタミナ(持久力)が非常に重要視されます。

中長距離の競走に成功するためには、スタミナが豊富で、長い距離を走り抜ける力強い馬が求められます。

血統として、ステイゴールドの血を持った馬は特に中長距離競走で強さを発揮することが多いです。

また、ジャングルポケットの血を持つ馬は、穴候補として注目されることがあります。

中長距離のレースは、その距離が長いためにレース中の展開やタイミングが難しく、予想が難しいとされています。

中長距離(2200~2800m未満)

競馬の中長距離競走は、2200m(11ハロン)から2700m(13ハロン)までの範囲を含んでいます。

中長距離の中でも2400m(12ハロン)は最もスタンダードな距離で、クラシックディスタンスと呼びます。

中長距離馬の特徴と距離適正の見方

2100mから2700mの距離は、競馬の中で中長距離と呼ばれる部門に属します。

この距離帯は非常に難しく、馬と騎手のスタミナと戦術が問われるため、予想やレース展開が予測しにくいことが多いと言えます。

中長距離競走において成功するためには、スタミナに富んだ馬が適しています。

長い距離を走り切るためには十分なスタミナが必要であり、この点でステイゴールドの血を引く馬は特に強い傾向があります。

ステイゴールドはスタミナとパワーを受け継ぐ血統として知られており、中長距離競走において優れた成績を収める馬にとっては有利な要素です。

また、穴候補としてはジャングルポケットの血統も注目されています。

ジャングルポケットはその血統からスピードとスタミナの両方を引き出すことができる馬を多く輩出しており、中長距離での意外な好走も期待できます。

長距離(2800m以上)

2800m(14ハロン)以上のレースを、競馬の世界では長距離戦と呼んでいます。

この長距離戦は、競走馬にとってはスタミナと持久力が重要とされる距離帯です。

長距離を得意とする競走馬はスタミナに優れ「ステイヤー」と呼ばれます。

ステイヤーの特徴と距離適正の見方

2701m以上の距離を、競馬の中で長距離と呼びます。

この距離帯は、言うまでもなくスタミナに勝る競走馬が勝負をするエリアです。

競走の結果は、持久力がどれだけあるかが大きな要因となります。

長距離戦においては、競走馬の走り方も重要です。

前で勝負できる競走馬、つまり先行型の馬が有利なことが多いです。

これは、レース中にペースをコントロールし、最終的にはラストスパートを仕掛けるのに有利だからです。

また、競走馬の体格も長距離戦において重要です。

人間のマラソンランナーを想像してみると、シャープな体格でほど良い筋肉を持っているランナーが多いです。

同様に、競走馬も馬格が胴長でスリムな馬が、長距離に向いている傾向があります。

この体型はスタミナを保つのに有利で、長い距離を力強く駆け抜けるのに役立ちます。

さらに、血統も競走馬の長距離適性に影響を与えます。

特に、ステイゴールドやハーツクライの血統は長距離戦において非常に強力で、これらの血統を持つ競走馬はスタミナに優れていることが多いです。

レーティングによるSMILE区分

近年、競走馬の能力を客観的に評価するために国際的な統一基準が使用されています。

この評価は、競走馬の能力をポンド(重量)と距離に基づいて算出し、一般に「レーティング」と呼ばれます。

このレーティングにおいて、距離を表す言葉の頭文字を取って「SMILE(通称、スマイル)」という略語が使用されており、各距離の評価基準は以下の通りです。

区分 日本の呼称 距離適性 備考
S Sprint 短距離 1000~1300m ※アメリカとカナダのみ1000~1599m
M Mile マイル 1301~1899m ※アメリカとカナダのみ1600~1899m
I Intermediate 中距離 1900~2100m
L long 中長距離 2101~2700m
E extended 長距離 2701m以上

SMILE区分の距離は、日本の距離体系と走破距離に若干の違いがあるため、馬券を検討する際には慎重さが必要です。

レーティングは、各競走馬の能力を負担重量のポンドで表示し、同じ距離を走った場合に同着となるように設定されています。

言い換えれば、レーティングの負担重量がより重い馬ほど、その競走馬の能力が高いことを示唆しています。

1ポンドはおおよそ0.45kgに相当し、競争能力の観点からすると、時計で言うと0.1秒程度の差が生じることになります。

日本でも、この国際基準に則ったJPNSarabred Ranking(JPNSR)が導入され、国内外の競走に参加した日本調教の競走馬のレーティングを公表しています。

レース終了後、G1競走では全出走馬、リステッド競走以上の場合は上位4頭までのレーティングが公表されます。

これらの数値は、次回の競走予想に役立つ情報となります。

各レースのレーティングはJRA(日本中央競馬会)の公式ウェブサイトに掲載されており、予想の際に是非ご参照いただければと思います。

芝のレース距離一覧

以下の表は、2020年の芝の競走距離一覧(障害競走を除く)です。

この表を見ると、多くの異なる距離のレースが存在することが分かります。

基本的には、1200m、1600m、2000mなどが一般的な距離で、3000mを超える長距離競走は年間を通じて数回しか行われないことがわかります。

▼2020年に行われた芝のレース距離一覧(中央競馬)

距離 競馬場
1000m 新潟、函館
1200m 阪神、中山、中京、福島、京都、新潟、札幌、小倉
1400m 東京、阪神、中京、京都、新潟
1500m 札幌
1600m 東京、阪神、中山、中京、京都、新潟
1800m 東京、阪神、中山、福島、京都、新潟、札幌、小倉、函館
2000m 東京、阪神、中山、中京、京都、福島、新潟、札幌、小倉、函館
2200m 阪神、中山、中京、京都、新潟
2300m 東京
2400m 東京、阪神、京都、新潟
2500m 東京、中山
2600m 阪神、福島、札幌、小倉、函館
3000m 阪神、京都
3200m 京都
3400m 東京
3600m 中山

芝の最短距離は1000m、最長距離は3600m

表を見ると、芝の競走距離の中で最短のものは1000mです。

一般的な競走では馬がコーナーを曲がってゴールを目指しますが、新潟の1000m戦は “千直” とも呼ばれ、1000mの直線を真っすぐ駆け抜ける特別な競走です。

長距離競走になるにつれて、騎手のスキルがより重要になるとされています。

しかし、新潟1000m戦も騎手によって大きな差が生まれ、藤田菜七子騎手や2020年に引退した西田騎手など、特に得意とする騎手が存在します。

最長距離は中山競馬場での3600m戦で、毎年12月に行われるステイヤーズステークスの1つです。この競走ではコースを約2周します。

ダートのレース距離一覧

ダート競走では、一般的に1200mから1800mの距離が多く設定されており、長距離のダート競走はあまり多くない特徴があります。

中央競馬のダートG1競走も、主に1600mと1800mの2つの距離で争われています。

下記がダートレースの一覧表です。

距離 競馬場
1000m 札幌、小倉、函館
1150m 福島
1200m 阪神、中山、中京、京都、新潟
1300m 東京
1400m 東京、阪神、中京、京都
1600m 東京
1700m 札幌、小倉、福島、函館
1800m 阪神、中山、中京、京都、新潟
1900m 中京、京都
2000m 阪神
2100m 東京
2400m 中山、札幌、小倉、函館
2500m 中山、新潟

面白い距離のレース

地方競馬はバラエティ豊かなレース距離が魅力の一つです。

例えば、園田競馬場では820m戦や1230m戦など、他ではあまり見られない独自の距離でのレースが行われています。

同様に、水沢競馬では850m戦、佐賀競馬でも1750m戦といったユニークな距離の競走が楽しめます。

また、国際競馬の中にはイギリスのゴールドカップのように約4000mという極めて長い距離で争われるレースも存在し、これらの競走にはストラディバリウスやオーダーオブセントジョージといった世界の名馬たちが数多く参戦し、見応えのある競馬を提供しています。

 

まとめ

今回の記事では、競馬の距離について解説しました。

競馬における距離は、重要な要素です。

なぜなら、競走馬には距離適性があり、距離がレースの勝敗に大きな影響を与えるからです。

距離が長いと、持久力やスタミナが求められますが、逆に短い距離ではスピードが重要となります。

距離適性は体型や血統からある程度予想することができます。

古馬の場合は過去の戦績を見て、判断すると良いでしょう。

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