- 追い切りとは
- 追い切りの判断ポイント
- 追い切りの見方
- 追い切りの平均時計
「競馬の追い切りで何を見れば良いのかわからない」ということはありませんか?
そこで、今回は競馬追い切りについて詳しく解説します。
この記事を読めば競馬の追い切りの見方や判断のポイントがわかるので、ぜひ最後まで読んで学んでみてください。
競馬の追い切りとは
追い切りとは、競走馬がレース当日に向けて行う最終の調整トレーニングのことです。
この追い切りが最近注目されている理由は、その内容を通じて競走馬の調子やパフォーマンスを一定程度予測できるからです。
たとえば、前回のレースと比べて馬がほとんど動かないような場合、次のレースでは好走する可能性が低いと考えられます。
逆に、前回よりも素晴らしい動きを見せる場合、今回のレースでの好走が期待されます。
追い切りの判断ポイント
追い切りの判断ポイントは大きく分けると以下の3つです。
- 調教タイム
- 普段の追い切り
- 調教コース
それぞれの追い切りのポイントについて解説します。
調教タイム
調教タイムの意味を正確に理解するためには、馬のタイプやトレーニング方法を考慮する必要があります。
なぜなら、競走馬はそれぞれが異なる特性や調教スタイルを持っているからです。
例えば、調教で驚くほど速いタイムを叩き出す馬でも、実際のレースでは全く走らないことがあります。
逆に、実戦では大いに走る馬でも調教タイムがそれほど速くないこともあります。
これは競走馬ごとの個性や調教メソッドの違いによるものです。
したがって、調教タイムを評価する際には、各馬の個別の特性やトレーニング方法を考慮し、その馬単体で見た場合に、その時計が有益なものなのかどうかを判断する必要があります。
つまり、時計だけではなく、背景にある厩舎の調教傾向や競走馬の特性を総合的に評価することが大切というわけです。
普段の追い切り
各馬の追い切りには異なる傾向があります。
競走馬のタイプは多岐にわたり、走り込むタイプの馬や実戦で本領を発揮するタイプの馬などさまざまです。
また、厩舎によっても調教のスタイルが異なるので、馬の過去の追い切りを調べて、今回の調教内容を評価する必要があります。
たとえ時計が非常に速い追い切りを示していたとしても、その馬の過去のレース記録を調べてみると、同じような速さの追い切りをしていた時に実際のレースで成績を残せていないことがあります。
このような場合、今回の追い切りの時計だけに注目せず、普段のトレーニングと比較して、その馬の調子や能力を総合的に評価する必要があります。
つまり、単に時計の数字だけを見るのではなく、馬の個別の特性や調教スタイル、過去の成績などを考慮し、追い切りの意義を的確に判断することが大切というわけです。
調教コース
追い切りの評価において、時計だけでなく調教場所も重要です。
調教場所によって、時計が出やすい場所と出にくい場所があります。
たとえば、芝コースやポリトラックでは、坂路コースに比べて約2秒ほど時計が速くなることがあります。
ただし、時計だけを単純に見てしまうと、その追い切りが単に時計が速いコースで行われただけである可能性があるため、調教場所についても注意深く確認する必要があります。
例えば、普段坂路コースでの調教が主だった馬が、ポリトラックで調整されたり、プール調教を行った場合は、馬体に何らかの異常がある可能性が考えられますので、これらの変更には注意が必要です。
要するに、追い切りの評価においては、時計だけでなく調教場所やその背後にある状況を総合的に考慮することが大切です。
追い切りの見方
下記の調教を例に数字や言葉の意味を解説します。
調教例:
①5/15 ②栗CW良 ③馬なり
④84.0-68.0-53.0-39.0-12.0 ⑤[8]
①追い切りが行われた日付
追い切りのスケジュールは通常水曜日か木曜日に行われますが、時折、通常と異なる調教メニューが見られることがあります。
たとえば、通常水曜日に行われる一週前の追い切りが今回は行われない、といった場合は注意が必要です。
異なる調教メニューが選択される理由はさまざまですが、前走の疲れが残っている場合や馬が好調すぎて最終仕上げのみで十分だと考えられる場合、あるいは天候やコンディションの問題から調教が制限される場合などが考えられます。
異なる調教メニューが採用された場合、その理由が競走馬にとってプラスの要因なのか、それともマイナスの要因なのかを詳細にチェックすることが重要です。
②追い切りが行われた場所と馬場状態(栗CWは栗東ウッドチップコース)
美浦と栗東は競走馬の調教拠点として知られており、それぞれのトレーニングセンターで多くの追い切りが行われています。
一般的に、ウッドチップコースや坂路コースがよく利用されています。
ただし、競走馬の脚に不安がある場合、ポリトラックやプール調教を併用することもあります。
したがって、競走馬の調教場所も注視する必要があります。
馬場の状態も重要な要素です。
馬場が悪い場合、タイムが遅くなることが一般的です。
しかし、前走よりも早いタイムを出すか、自己ベストを更新するような走りを見せる競走馬は、道悪でも好走の可能性があることを示唆しています。
③追い切りの強さ(馬なり・強め・一杯など)
競走馬の調教において連闘の場合、一般的には軽めに追われることが多いです。
これは馬を過度に疲れさせないための配慮です。
ただし、連闘であっても、追い切りで一杯に追われている場合は、馬がまだ疲れを残していないことを示す証拠と言えます。
例えば、藤沢厩舎などでは馬なり調教のみで調整することもありますが、追い切りの強さも競走馬の調子を判断する際の重要な基準です。
普段馬なり調教で追われている馬が、今回の追い切りでビッシリ追われている場合など、その馬の調子や傾向によって異なりますので、追い切りの強さも注意深く見るべきです。
④追い切りの時計・距離(例の場合は6F追い)
追い切りの時計を見る時に気をつける点としては、各馬の調教コースごとの基準タイムを知っておくことです。
坂路コースは4F追いであることが多いですが、ウッドチップコースでは6F追いや7F追いの場合があり、長めに追う場合はウッドチップコースで調教が行われています。
ウッドチップコースの場合は、2Fの時計を表示することがなく、例の場合では、左から6F-5F-4F-3F-1Fの時計が記載されています。
2Fの時計については単純に(3Fの時計-1Fの時計)/2で計算して算出します。
加速ラップを計算する際にも2Fを上記の計算をして判断することをお勧めします。
◆加速ラップとは
1Fごとにスピードが速くなっていること
例の場合では、16秒→15秒→14秒→13.5秒→13.5秒→12秒となり、加速ラップを刻んでいます。
⑤追い切りが行われたコース(数字が大きい方が外回りのため時計が掛かる)
坂路コース以外のトラックでの追い切りにおいて、コースの番号は非常に重要な情報です。
各コースには1から9までの数字が割り振られており、数字が低いほど内側のコースを、数字が高いほど外側のコースを指します。
したがって、数字の大小によってコースの位置が異なります。
例えば、1と9では約1秒ほどのタイム差が生じます。
つまり、コースの外側を走る(数字が大きい)場合、通常内側を走る(数字が小さい)場合に比べて時計が遅くなる傾向があります。
そのため、追い切りの時計がちょっと遅く感じても、外を回っている場合、外回りにしては速いと判断できることがあります。
逆に、時計が非常に速いと感じても、内を回っている場合、平凡な走りかもしれないと考えることができます。
したがって、コース番号を確認し、外回りでの走りを適切に評価することが重要です。
馬の調子や走り方を正確に判断するために、これらの情報をしっかりとチェックしましょう。
各調教コースの平均時計
追い切りを見る時は各馬基準となるタイムを把握して、見る必要がありますが、その時に目安となるのが各調教コースの平均時計です。
調教場所によって調教コースが違うので、各調教場所のコースを知る必要があります。
調教場所は以下の通りです。
- 栗東(滋賀県)
- 美浦(茨城県)
- 函館競馬場(北海道)
- 札幌競馬場(北海道)
それぞれの調教場所の解説をします。
栗東(滋賀県)
栗東にある調教コースは以下の通りです。
- 坂路コース
- CW(ウッドチップ)コース
- P(ポリトラック)コース
- Bコース(ダートコース)
- 芝コース
それぞれの調教コースの平均時計を紹介します。
坂路コース
平均時計:53.6-38.8-25.4-12.6
この調教コースは非常に利用頻度が高く、多くの日には1,000頭以上の競走馬が利用しています。
特徴的な点は、急な坂の傾斜で、高低差が32メートルにも達します。
このコースは負荷をかけるのに非常に適しており、調教を通じて馬の体力や筋力を鍛えるのに最適です。
ただし、坂の傾斜が急であるため、通常の平坦なコースに比べて調教タイムは遅くなる傾向があります。
しかし、このコースで良いタイムを記録する競走馬がいれば、その馬のパフォーマンスには注目が必要です。
高い負荷に耐える能力や坂路での走りに優れた馬が、レースでの好走が期待できることがあります。
したがって、このコースでの調教タイムを見る際には、その馬の特性や過去の成績と合わせて注目すべきポイントと言えるでしょう。
CW(ウッドチップ)コース
平均時計:99.2-82.8-67.4-52.6-38.2-12.5
この調教コースはクッション性と排水性に優れており、そのため競走馬の脚に対する負担が少ない特長を持っています。
また、このコースは天候による影響が少ないのも特徴の一つで、そのために距離を長くとることができ、馬の体力向上に効果的です。
このコースでは雨などの天候要因による調教タイムの変化が少ないため、調教時のタイムを単純に比較することで、その馬の調子や能力を判断するのが良いでしょう。
ただし、クッション性や排水性に優れているため、他のコースと比べてタイムが速く出やすいこともあることに留意する必要があります。
そのため、このコースでの調教タイムを見る際には、他のコースとの比較やその馬の特性を考慮しながら判断することが大切です。
P(ポリトラック)コース
平均時計:80.1 64.5 49.8 36.5 12.0
ポリトラックは、合成樹脂素材、例えばポリエステルなどで作られた調教コースです。
このコースの大きな特徴は、天候による影響が少なく、特に凍結しやすい寒い季節でも凍結防止剤を使用せずに調教できることです。
一般的に、ポリトラックは非常にタイムが速く出やすい傾向があります。
坂路コースやウッドチップコースと比較しても、同じ距離での調教タイムが速くなることが多いです。
ただし、この速さに注意が必要で、単に速いタイムが出たからと言って、その馬が必ずしも調子が良いとは限りません。他の要因や馬の特性と組み合わせて判断することが大切です。
Bコース(ダートコース)
平均時計:82.7-67.9-53.2-39.4-12.2
栗東競馬場には、ダートコースも存在します。
このコースは使用頻度は高くはありませんが、特筆すべきはそのコースでの非常に速いタイムが出ることです。
美浦競馬場のダートコースと同様に、栗東のダートコースも天候の影響を受けやすい特性があります。
具体的には、雨が降ると馬場状態が悪化しやすいです。そのため、競走前には馬場状態もしっかりとチェックし、それを考慮に入れて予想を立てることが大切です。
芝コース
平均時計:81.2-65.2-50.5-36.9-12.8
このコースも他のコースと比べて使用頻度は低いですが、特定の状況下で活用されます。
例えば、雨が降ったり他のコースで脚に負担がかかるような場合に利用されることがあります。
美浦競馬場の芝コースと同じく、このコースでも一般的に時計が速く出る傾向があります。
ただし、単に時計だけで判断するのは危険です。
なぜなら、脚に負担が少ないため、他のコースでの走りに比べて時計が速くなることがある一方で、脚に不安がある馬がこのコースで調整されることもあるからです。
したがって、競走前には時計だけでなく、脚の状態や馬の特性も注意深くチェックする必要があります。
美浦(茨城県)
美浦にある調教コースは以下の通りです。
- 坂路コース
- 南W(ウッドチップ)コース
- P(ポリトラック)コース
- 南D(ダート)コース
- 芝コース
それぞれの調教コースの平均時計を紹介します。
坂路コース
平均時計:53.0-38.9-25.4-12.5
このコースは高低差が18メートルで、栗東競馬場の坂路コースに比べて坂の勾配が緩やかです。
そのため、一般的には時計が早く出る傾向があります。
ただし、栗東競馬場の坂路で調教を行っている馬と比較する際には注意が必要です。
坂路コースごとに特性が異なるため、コース間での時計比較には慎重になるべきです。
南W(ウッドチップ)コース
平均時計:83.2-68.1-53.4-38.8-12.9
美浦競馬場では、南Bコースにあるウッドチップコースが非常に頻繁に使用されています。
このコースは時計が出にくいとして知られており、その理由はコース形態にあります。
特にコーナーがきつく、曲がる際に時間がかかります。
そのため、通常よりも時計が遅くなることが多いです。
しかし、このコースはクッション性や排水性に優れており、天候の影響が少ないのが特徴です。
雨などの悪天候でも安定して調教を行えるため、競走馬のトレーニングに重宝されています。
P(ポリトラック)コース
平均時計:82.0-66.7-51.6-37.7-11.8
美浦競馬場のポリトラックコースは、栗東のポリトラックコースと同様に時計が出やすいコースです。
しかし、美浦坂路と比べると負荷が少ないコースとして知られています。そのため、調教時計は美浦坂路と比べてほとんど変わりません。
また、このコースも天候による影響が少ないのが特徴で、雨などの悪天候でも安定して調教が行えます。
美浦競馬場では競走馬のトレーニングに幅広く活用されています。
南D(ダート)コース
平均時計:81.4-66.5-51.7-38.3-12.7
美浦競馬場のダートコースは、時計が出やすく、加速ラップを刻んだ調教がよく行われます。
競走馬がスピードを伸ばすためのトレーニングに向いています。ただし、欠点として天候の影響を受けやすいため、雨が降ると馬場状態が悪化します。
しかし、美浦競馬場のダートコースは、降雨時や降雪時など天候に左右されずに調教を行える利点も備えています。
芝コース
平均時計:67.7-51.7-38.0-11.9
このコースは、競馬場と同じような構造を持つ芝コースです。
通常、栗東競馬場の芝コースと同様に、競走馬が比較的早い時計を出しやすい傾向があります。
このコースは、競走馬を競馬場の芝コースに慣れさせるために使用されることがあります。
競走馬にとって、実際の競馬場と似た条件で調整を行うことは重要です。
函館競馬場(北海道)
函館競馬場の各コースの平均時計をご紹介します。
ウッドチップコース(函館W)
平均時計:67.9-53.0-38.4-12.5
2. ダートコース(函館ダ)
平均時計:80.0-66.3-52.7-39.6-12.9
3. 芝コース(函館芝)
平均時計:68.9-53.0-39.1-12.0
札幌競馬場(北海道)
札幌競馬場の各コースの平均時計をご紹介します。
ダートコース(札幌ダ)
平均時計:83.4-68.3-53.4-38.7-12.8
芝コース(札幌芝)
平均時計:82.5-55.4-39.0-12.3
まとめ
今回の記事では、競馬の追い切りについて解説しました。
競馬の追い切りは、馬がレースに向けて最終調整を行う時間なので、予想のために重要な情報が多く詰まっています。
追い切りを判断する時のポイントは、各馬の平均時計や調教とレース結果の情報を総合的に判断することです。
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