- 競馬のペースの決まり方
- ペースごとの特徴
「競馬のペースの予想の仕方がわからない・・・」「ペースってどうやって決まるの?」と悩んでいることはありませんか?
競馬のペースはレースの展開や予想に大きく関わる重要な要素です。
そこで、今回は競馬のペースを読む方法について解説します。この記事を読めば競馬のペースの予想方法や影響要素、有用なデータなどがわかるので、ぜひ最後まで読んで学んでください。
競馬のペースの決まり方
競馬のペースは、実際のレース後に評価されます。
通常マラソンや駅伝のような競技では、一定の距離での通過タイムが過去のレースや平均的なレースのタイムより速ければ「ペースが速い」と言われます。
しかし、競馬の場合は少し異なり、レース中に1000m通過タイムが〇秒だったからといって、それが必ずしもハイペースを意味するわけではありません。
競馬のペースは通常、以下のように判定されます。
1. レース全体の距離を2で割り、前半と後半を真っ二つに分けます。
例えば、2000mのレースで走破タイムが2分の場合、前半1000mは1分、後半1000mも1分です。
2. ハイペース(Hペース)と判定される時は、前半1000mが平均より速く、後半1000mが平均より遅い場合です。
3. 平均ペース(Mペース)と判定される時は、前半1000mと後半1000mにおけるタイム差がほとんどない場合です。
4. スローペース(Sペース)と判定される時は、前半1000mが平均より遅く、後半1000mが平均より速い場合です。
競馬のペース評価は、これらの要素を考慮して行われます。
ペースごとの特徴
先述したように競馬のペースはスローペース、ハイペース、ミドルペースの3つに分けられるのですが、予想の際には以下のようにさらに細かく見る必要があります。
スローペース | 右肩上がり型 | 後半頭から徐々に加速 |
スローペース | ヨーイドン型 | ラスト3Fだけ急激に加速 |
ハイペース | 直線手前スロー型 | 直線を前に息が入る |
ハイペース | 一本調子型 | 途中で全く息が入らない |
ミドルペース | 緩急型 | 最高ラップと最低ラップの差が1秒以上 |
ミドルペース | 一定型 | 最高ラップと最低ラップの差が1秒以内 |
それぞれのペースについて解説します。
スローペース
前半のタイムが後半のタイムより1秒以上遅い場合、それを「スローペース」と呼びます。
スローペースは、競馬において底力とスピードの両方が要求される「右肩上がり型」と、残り3Fまでペースが落ち着いたままで、瞬発力のみが要求される「ヨーイドン型」の2つに分類できます。
右肩上がり型
後半頭から徐々にペースが上がっていく競走の場合、それを「右肩上がり型」と分類します。
以下は一例です。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
63.3 | 24.4 | 35.2 | 2.02.9 |
12.7 | 12.2 | 11.7 | 12.3 |
レースは前半、後半、そして後半をさらに3つの部分に分けて評価してみましょう。
前半が後半よりも3.7秒遅いスローペースで進行しています。各部分ごとの平均ラップを見ると、1000m通過が12.7秒、3角前2Fが12.2秒、上がり3Fが11.7秒と段々にペースが上がっています。
このような場合、3角前2Fでペースが上がることで、それまでの戦略的な走りから少し余力を消費している可能性があります。
そのため、上がり3Fのタイムが特に速くなることはありません。
各部分ごとに平均ラップが均等に上昇しているのがわかります。
このように、3角前2Fでペースが上がり、上がり3Fのタイムがやや遅くなるレースは、持久力を生かすのが得意な馬に向いています。
底力も必要とされるため、瞬発力だけで勝負する馬には不向きです。
ヨーイドン型
残り3Fまでのペースがあまり上がらず、ラスト3Fで瞬発力を駆使して競り合うスタイルを「ヨーイドン型」と分類します。
以下は一例です。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
62.4 | 25.2 | 33.8 | 2.01.4 |
12.5 | 12.6 | 11.3 | 12.2 |
前半と後半のペース差が3.4であるスローペースのレースでは、各セグメントの平均ラップを詳しく見てみると、1000m通過が12.5で、3角前2Fもほぼ同じペースの12.6で推移しています。
その後、上がり3Fでは急激に加速し、11.3となりました。
このタイプのレースでは、残り3Fまでのペースが緩慢で、全ての馬が余力をたっぷりと残しているため、上がり3Fのタイムが非常に速くなる傾向があります。
このような状況では、瞬発力と切れ味に秀でるタイプの馬が有利とされます。
全ての馬が余力を持っているため、スプリント能力が問われ、長くいい脚を使うタイプの馬には向いていません。
ハイペース
前半のタイムが、後半より1秒以上速いペースのレースをハイペースと呼びます。
ハイペースは、後半に差し掛かったところで一気にペースが上がる「直線手前スロー型」と、一貫して速いペースが続き、終盤でバタバタになる「一本調子型」の2つに分けることができます。
直線手前スロー型
前半が後半より1.5秒速いハイペースのレースは、非常に興味深いものです。
以下が一例です。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
60.1 | 26.1 | 35.5 | 2.01.7 |
12.1 | 13.1 | 11.9 | 12.2 |
各塊ごとの平均ラップを見てみると、前半は12.1のペースで飛ばしていたものの、3角前2Fで13.1までペースが落ち着きます。
この局面を「息が入る」と表現します。そして、上がり3Fでは再びペースが上昇し、11.9と速いタイムを記録します。
このような場合、前半のハイペースによる力の消耗を3角前2Fで補充できることが鍵です。
短い2Fの区間でも、息が入ることで多少の余力を確保し、上がり3Fもそれなりのタイムで走り抜けることが可能になります。
前半のハイペースに対応できるスタミナと、速い上がりを駆使できる瞬発力が求められるタイプのレースと言えるでしょう。
一本調子型
途中で息の入らないハイペースを、「一本調子型」と分類します。
以下が一例です。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
58.6 | 24.9 | 37.0 | 2.00.5 |
11.8 | 12.5 | 12.4 | 12.1 |
前半が後半より3.3速いハイペース。
各塊ごとの平均ラップを見てみると、前半を11.8のハイラップで飛ばしています。
3角前2Fで、12.5と一見息が入っているかのように見えますが、その後の上がり3Fではペースを上げることが出来ずの12.4です。
本来多少なりとも溜め込んだ余力を発揮するために、上がり3Fは他の塊よりも速くなりがちなのですが、ペースアップができないということは、道中で息を入れることができていないことの表れです。
3角前2Fのペースダウンは、息が入ったものではなく、失速してきたという評価が妥当となります。
この場合、前半のハイペースで消費されていた力を補填する期間が一切なく、ほとんどの馬が最後にはガス欠状態で走っています。
そのため、スタミナの絶対値の上に、スタミナが切れた後の底力を要求されます。いわゆる前崩れが起きるのはこのタイプのレースの時です。
ミドルペース
前半と後半のタイム差が1秒以内のレースを指します。
前半と後半にタイム差のあまりないミドルペースですが、全体を2分割にすると差があまりないように見えるだけで、より細かくハロン単位に分割してみると、最高ラップと最低ラップに1秒以上差のある「緩急型」と、差が1秒以内の「一定型」の2つに分類できます。
緩急型
レース中の、初期2Fまでを除く最高ラップと最低ラップの差が、1秒以上ある平均ペースのことを、緩急型と分類します。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
61.0 | 24.9 | 35.1 | 2.01.0 |
12.2 | 12.5 | 11.7 | 12.1 |
以下は、最高ラップと最低ラップの差が1.3秒あるこのレースの例です。
このレースは、前半のタイムが61.0で、後半のタイムが60.0の平均ペースですが、道中遅い部分と速い部分の差がかなり激しいです。
ハイペースの、直線手前スロー型と似たタイプです。やはり3角前2Fで息が入る分上がりも速くなり、瞬発力が必要とされます。
同じ緩急型に含まれますが、例外といえるのが下記の例です。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
61.0 | 24.8 | 37.2 | 2.03.0 |
12.2 | 12.4 | 12.4 | 12.3 |
このレースも緩急型と分類できますが、特徴的なのは最高ラップがレース前半にあり、最低ラップが最終ハロンにあることです。
3F目に最高ラップがくるときは、大抵は2Fまでに終わるはずのポジション争いが長引いてしまった時です。
本来このパターンの時は、ハイペースとなることが多いのですが、スタート後の1F目が遅かったために、平均ペースに分類されてしまいました。
上がり3Fが徐々に減速していき、最終ハロンがレースの最低ラップを刻んでいるということは、スタミナと底力の問われるレースであったと考えられます。
これは、ハイペースの一本調子型の時に必要とされる能力です。同じ平均ペースの緩急型でも、こういった例外もたまにはあるということです。
一定型
最初の2Fまでを除く最高ラップと最低ラップの差が、1秒以内である平均ペースのことを、一定型と分類します。
以下が一例です。
1000m通過 | 3角前2F | 上がり3F | 走破タイム |
60.0 | 24.2 | 36.3 | 2.00.5 |
12.0 | 12.1 | 12.1 | 12.1 |
13.1 – 11.5 – 11.7 – 11.6 – 12.1 – 11.9 – 12.3 – 11.9 – 12.0 – 12.4
上記は、最高ラップと最低ラップの差が0.8しかない一定型のレースの説明です。
一定型は、最高ラップと最低ラップの差が0.8秒以内のレースを指します。
このタイプのレースは、非常に均等なペースで進行し、各ハロンのタイム差がほとんどありません。
馬が安定した速さで走り、ペースの変動が少ないことが特徴です。
このようなレースでは、スタミナと持久力が非常に重要となります。
馬は一定の速さを維持し続け、最後まで脚力を温存しながら走る必要があります。
一方で、急激なペースアップやスプリント力はあまり必要とされません。
レース中のポジション争いが比較的穏やかで、前半から中盤にかけての展開が安定しているため、最終ハロンでの切れ味が問われることがあります。
一定型のレースは、ペースが乱れにくく、馬券の予想においても比較的予測しやすいとされています。
スタミナに自信のある馬や、持続力のある馬がこのタイプのレースで好成績を収めることがあります。
まとめ
今回の記事では、競馬のペースの種類や決まり方について解説しました。
競馬の予想において、ペースは有利な脚質や競走馬の適正に大きく関わるので非常に重要です。
予めレース前にペースの傾向を分析し、勝利を導くための戦略を練ることが必要なのです。
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